「わけわからん」は楽しい。
たまに「この作品の良いところは、わけわからんのに気づいたら感動して泣いてしまうところ」などとプレゼンすると、本気で眉をひそめて「それのどこが面白いの??」って聞かれることがある。
でも「わけわからん」のに「感動しちゃう」のって面白くないです?
自分ではそんなつもりないのに、気づいたらボロボロ涙流れてて、「え?これどういうことなの??」ってなるの楽しくないですか?
作品の内容はよく分からなかったのに、見終わった後にとてつもない「余韻」だけが
身体に残っていて「なんなんだこの感情」ってなるの面白くないですか?
え、これって普遍的な感情ではないの?ひょっとして。
「わけわからん」から「わけわかりたくて」色々調べる。
その作品のこと。その作品を作った人のこと。そこにどんな狙いがあるのか。
あるいはまったく狙いなんてないのか。そういうことをわかりたくて、色々と調べる。
勉強する。それが楽しい。
だから「わけわからんのが楽しい」ことを知っているのは楽しい。
そう思う。
4月10日。
僕に「わけわからんのが楽しい」ことを教えてくれた映画監督が旅立たれた。
2012年に公開された映画「この空の花 長岡花火物語」は本当の意味で僕に「わけわからんことの楽しさ」を教えてくれた作品だった。
膨大に流し込まれる情報に翻弄されて頭は混乱しているのに、クライマックスでは
ありえないくらいの感動で涙がぼろぼろこぼれてきて、自分のその感情が理解できなくってとても驚いた。後にも先にも映画でそんな経験をしたことはほとんどない。
そこから「映画を見る事」、「考える事」の自分の中での価値観が変わった。
本当に、心の底から尊敬していました。
大林宣彦監督、沢山の素晴らしい「わけわからん作品」をありがとうございました。